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第11話 疑われる理由

Author: marimo
last update publish date: 2026-02-23 20:29:25

不正という言葉は、いつも唐突に現れる。

それまで積み上げてきた実績も、肩書も、信用も――

たった一度の疑念で、すべてを塗り替える。

鷹宮綾乃が「調査する側」から、「調査される側」に回ったのは、

ある資料が提出された瞬間だった。

「これは……」

外部監査チームが提示したのは、

海外エネルギー開発プロジェクトに関する

送金記録の写し。

送金承認者の欄に、はっきりと記された名前。

――鷹宮 綾乃。

「承認した覚えは、ありません」

即答だった。

記憶は、はっきりしている。

だが、担当者は静かに首を振る。

「電子承認の履歴が残っています。IDも、パスワードも、本人のものです」

それは、

“否定できない形”で用意されていた。

(……完璧すぎる)

不正は、ずさんだから露見するわけではない。

最初から、誰かに被せるつもりで作られたものほど、綺麗だ。

綾乃は、その場で理解した。

――これは、偶然ではない。

――狙われている。

しかも、ただのスケープゴートではない。

「もう一つ、気になる点があります」

監査チームの一人が、資料をめくる。

「この送金先ですが、九条ホールディングス関連会社と、間接的につなが
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